建築物環境衛生管理基準について

環境衛生法にて、興行場・百貨店・店舗・事務所・学校等の用に供される建築物で、相当程度の規模を有するものを「特定建築物」と定義し、その特定建築物の所有者、占有者等に対して、「建築物環境衛生管理基準」に従って維持管理をすることを義務づけられており、「空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置について定める」と規定されています。

特定建築物とは

用途 延べ面積
1.興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館又は遊技場 3,000平方メートル以上
2.店舗又は事務所
3.学校教育法第1条に規定する学校以外の学校(研修所を含む)
4.旅館
5.学校教育法第1条に規定する学校 8,000平方メートル以上

建物の述べ面積にもよりますが、建物の用途としてはほとんどの場合が「特定建築物」になり得る可能性がありますので、注意が必要です。

環境衛生管理基準について

「特定建築物」と定義される建物は、「建築物環境衛生管理基準」に従って維持管理をすることを義務づけられており、 具体的な管理項目及び実施例を以下に挙げております。

※指でスワイプするとスクロールします。

1.清掃及び廃棄物処理 ●日常清掃のほか、6ヶ月以内ごとに1回大掃除を定期に統一的に実施
2.空気環境の調整 空気環境の測定 ●2ヶ月以内ごとに1回、各階で測定(浮遊粉じん・CO・CO2・温度・相対温度・気流)
●建築物(新築時など)の使用開始日以降最初の6月~9月の間に1回(ホルムアルデヒド)
冷却塔・加湿装置・
空調排水受けの点検等
●使用開始時及び使用開始後1ヶ月以内ごとに1回点検し、必要に応じ清掃等を実施
冷却塔・冷却水の水管・
加湿装置
●1年以内ごとに1回
3.給水・給湯管理 残留塩素等の測定 ●7日以内ごとに1回
水質検査 ●6ヶ月以内ごとに実施(15項目、10項目)
●築年6~9月に実施(消毒副生成物12項目)
●3年以内ごとに実施(有機化学物質等7項目)※地下水投資用施設
貯水(湯)槽の清掃 ●1年以内ごとに1回
防錆剤の水質検査 ●2ヶ月に1回
雑用水の
水質管理
散水・修景・清掃用 ●7日以内ごとに1回(pH・臭気・外観・残留塩素)
●2ヶ月以内ごとに1回(大腸菌)
水洗便所用 ●7日以内ごとに1回(pH・臭気・外観・残留塩素)
●2ヶ月以内ごとに1回(大腸菌)
4.排水管理 ●排水槽の清掃は6ヶ月以内ごとに1回
5.ねずみ等の防除 ●6ヶ月以内にごとに1回(特に発生しやすい場所については2ヶ月以内ごとに1回)、定期に統一的に調査を実施し、当該結果に基づき必要な措置を講ずる

上記に示す通り、環境維持の為には定期的な点検や測定が必要となります。 しかし、専門的な知識や専用機器の利用などが必要なため、素人が行うには非常に困難です。 しっかりとした専門業者に任せなければ継続することができません。

空気環境の調整について

これまでに述べたように、建物環境の維持は複数項目によって基準が設けられています。
その中で、「空気環境」について詳しく見てみましょう。

空気環境の調整

  • 冷却塔及び加湿装置に供給する水を、水道法第4条に規定する水質基準に適合させること。
  • 冷却塔及び冷却水、加湿装置について、1ヶ月以内ごとに1回、汚れの状況を点検すること。
  • 空気調和設備の排水受けについて、1ヶ月以内ごとに1回、汚れ及び閉塞の状況を点検すること。
  • 冷却塔、冷却水の水管及び加湿装置の清掃を、1年以内ごとに1回行うこと。
  • 下表の項目について、2ヶ月以内ごとに1回、空気環境の測定を行うこと。

空気環境の測定項目と基準値

①浮遊粉じんの量 0.15mg/m3
②一酸化炭素の含有率 10ppm以下
③二酸化炭素の含有率 1000ppm以下
④温度 17~28℃
⑤相対温度 40~70%
⑥気流 0.5m/秒以下
⑦ホルムアルデヒドの量 0.1g/m3以下

※1:機械換気設備の場合は、温度、相対温度は該当せず。
※2:ホルムアルデヒドは建築後、大規模の修繕・模様替後に、6月~9月の時期に1回。

有害物質の有無など人体への影響に関しての基準は当然ですが、温度や湿度・気流といった「人の感覚」として感じる部分も実数値で基準が設けられていることで、空調機器の正常な動作が不可欠となっています。
日々のお手入れや定期的なメンテナンス・洗浄など計画的な利用が望まれます。

たくさん人が集まる場所だからこそ
「安全」で「安心」な空間でなければなりません。
施工や導入後のサポートなどしっかりと
行える業者を選ぶことが大切です。

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