寒冷地エアコンでしっかり暖房

暖房器具はいろいろありますが、メインでエアコンを利用している場合、「寒冷地用ならもっと暖かいのかも?」と思ったことはないでしょうか。エアコンには、同じシリーズのモデルでも寒冷地用、寒冷地仕様と呼ばれる製品があります。(そうでない製品は一般地用と呼ばれます)寒冷地エアコンは、外気温がマイナスでも強力に暖められる暖房能力を有しますが、どこが普通のエアコンと違うのか知っていますか?今回は寒冷地用エアコンの仕組みや普通のエアコンとの違いなどをご紹介します。

エアコンの仕組み

冷房の場合、部屋の中の熱を奪うとともに、熱を除去した空気を室内に戻すことで涼しさを提供しています。そこでポイントとなるのが、室内機と室外機の間を行き来する「冷媒」とそれぞれに搭載された「熱交換器」です。冷媒は圧縮すると熱くなり、膨張すると冷たくなります。熱は多いほう(熱いほう)から少ないほう(冷たいほう)に移動するため、室内機の熱交換器にある熱い空気はキンキンに冷えた冷媒へ移動。そして、冷媒に圧力をかけて外気温よりも熱い状態にすることで、室外機から外に熱を逃がします。いわゆる「ヒートポンプ」という技術が採用されています。

暖房運転では、冷房運転と逆のことを行います。外の空気よりも冷たい冷媒で外気中の熱を取り込み、冷媒を圧縮させて高温にし、その熱を室内に放出することで温風を吹き出します。

エアコン暖房は効きが悪い?

暖房運転では、外気から熱を奪うことで暖かさを提供しているため、外気温が低くなると冷媒との温度差は小さくなり、奪える熱量も少なくなります。つまり、室外機にいかに熱を取り込むパワーがあるかが大きく影響します。そこで、熱交換器やコンプレッサーなどを改良することにより室外機の性能を向上させ、室内機で足元付近の暖めや温風の温度が低いといったエアコン暖房の弱点をカバーしています。精度の高いセンサーや気流の制御を駆使し、床上に重点をおいた暖めや高温の吹き出しや効率よく暖められるようにしています。さらに霜取り運転で暖房運転がストップしてしまう時にも、室温が低下しない施策も万全です。

寒冷地用エアコンと一般地用エアコンの違いは?

寒冷地用エアコンは、一般地よりも寒い・雪が降る・霜が降りる状況下でも暖房性能を発揮するものです。パワフルな分やはり一般地用より高額になりやすいため、一般地でのご使用をお考えの場合は寒冷地用エアコンを選ぶ必要はありません。

では、普通のエアコンと寒冷地用ではどこが違うのでしょうか。寒冷地エアコンと言っても、室内機は基本的には普通のエアコンと同じです。大きな違いとなるのは室外機です。温度の低い外気からの熱をたくさん集めるために表面積の大きい熱交換器を搭載し、冷媒を素早く高温にできるよう高速運転できる性能の高いコンプレッサーを装備するなど、適用畳数が同等の普通のエアコンと比べると1~2ランク上の定格出力を有する室外機が採用されています。

さらに、寒冷地用の室外機には凍結を防ぐための工夫も欠かせません。室外機を巡る冷媒は-10℃程度にまで冷やされているため、表面に付いた霜が凍って溜まった氷により風路が塞がれてしまう可能性があります。風路が塞がれると、空気(熱)を取り込むことができないので暖房運転ができなくなります。そこで、室外機の底板(ドレンパン)にヒーターを搭載することで凍結を回避。また、運転停止中でもファンが自動的に間欠運転を実施し、室外機に雪が吹き込むのを低減する機能を装備しているモデルもあります。

近年は、夏に冷房が必要のなかった地域でも30℃を超える日が増えてきていることもあり、冷暖房できる寒冷地エアコンを求める人が増えています。寒冷地エアコンは“外気温-25℃でも暖房運転可能”とうたわれていますが、最低気温が-10℃以下になる地域(岩手県盛岡市から北の地域や日本海側の北陸地方、西日本でも熊本県の阿蘇など山岳地域が該当)ならば寒冷地用を選ぶほうがいいと言えます!

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